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生活援助サービスの「介護過程」に関するアンケート結果について

株式会社やさしい手(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:香取幹、以下「やさしい手」)は、生活援助サービスの「介護過程」に関するアンケートを実施した。
「軽度者に対する生活援助サービス」に関して、経済・財政諮問会議(平成27年12月24日)で示された「経済・財政再生計画改革工程表」の中で、公的保険給付の範囲や内容について給付の見直しや地域支援事業への移行を含めて検討するとされた。本件に関する議論は、平成28年2月17日から議論がスタートした社会保障審議会介護保険部会において議論がされるものとされている。
このような状況を受け、やさしい手では、介護保険サービスとして実施がされている「生活援助」の「介護過程」に着目をしたアンケートを実施した。アンケートの概要・結果とその考察は下記の通りである。
アンケート回答者、103名の属性は、男性が54名・女性が49名、居住地域は、全国の分布し、関東地方28名・近畿地方20名などの分布であった。職業は、約半数が会社員(その他)であった。
【質問項目の選択肢と選択方法について】
13個の調査項目設定し、各項目に選択肢を11個設定し、設問ごとに「強く意識をしている項目の上位5つ」「あてはまるものをすべて」「あてはまるものを1つ」等の条件を指定し、回答する形をとった。

● 訪問介護員は行う生活援助を行う際に、「生活援助そのもの」だけではなく「専門性に基づく観察・判断・情報収集行為(介護過程)」を強く意識していることが明らかになった。

● 買い物難民化の懸念事項が「栄養状態・栄養バランス」「社会参加の機会の減少」「運動量の減少」「家族介護者負担の増加」であることが明らかになった。

● 買い物の代替機能として、「家事代行会社・介護会社による自費サービスの利用」と「宅配サービスの利用」が過半数を超える方が代替機能として有効であるとの回答を得た。

● 調理行為の代替機能として、「家事代行会社・介護会社による自費サービスの利用」と「配食弁当」が過半数を超える方が代替機能として有効であるとの回答を得た。特に「配食弁当」は70%を超える回答を得た。

● 「10分未満直接的な生活援助」と「介護過程」を組み合わせたサービスが軽度要介護者の在宅生活支援に効果を発揮するためには、1日1回以上の頻度が必要である。

● 「 10分未満直接的な生活援助」と「介護過程」を組み合わせたサービスは在宅生活継続に寄与し、期待される効果は、「心身の変化・病状の変化の早期発見」「見守り・安否確認」である。

● 定期巡回のケアコール端末のような機器類が「介護過程」のサービスと統合されると機能が充実する。

● 「介護過程」と10分未満の「直接的な生活援助」と組み合わせたサービスは他職種連携の効果を向上させる。

● IoT(物のインターネット化)の技術によって「介護過程」の機能を強化することができると回答は全体の61.2%となった。

アンケートは平成28年3月7日から8日(24時間実施)の間に、株式会社マクロミル社会員のうち、「介護職員」「ケアマネージャー」に対して、メール発信を行い、103名の回答を得た。
(1)訪問介護員が実施する軽度要介護者に対する生活援助サービスがもたらす情報による専門職間の連携
訪問介護員が専門性に基づく観察・判断・情報収集により得た情報は、サービス提供責任者・介護支援専門員・看護師・医師の連携に欠かすことのできない情報源である。
つまり、訪問介護員がもたらす「情報」は、「訪問介護計画」「居宅介護支援計画」「訪問看護計画」「診療計画」のPDCAサイクルをまわす手助けとなり、各計画の精度を高める効果があるのではなか。

(2)「10分未満直接的な生活援助」と「介護過程」を組み合わせたサービスの活用方法イメージ
1日1回「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせのサービスを位置づけたプランが想定されている。
「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせで1回あたりの単価を低減させながら、利用者と介護職員が「対話」に基づいて在宅生活継続を維持することができると考える。
退院直後や不安が強いときは 「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせの回数を確保しつつ、自立度が向上されるとともに、サービス提供回数を減少させていくことができるのではないか。
(3)「10分未満直接的な生活援助」と「介護過程」を組み合わせたサービスとケアコール機器の活用
「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせのサービスを位置づけとともに、「定期巡回」のケアコール機器の活用により、在宅生活継続の効果を拡大させることができる。
ケアコール機器の活用により、定期的なの声掛けなどの支援が可能となる。
定期的な声掛けには、「服薬確認」「独居要介護者の支援」などの機能が想定される。
「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」と「介護予防・日常生活支援総合事業」の緩和型訪問型サービスとの組み合わせによって、介護給付としてふさわしい専門的なサービスと、緩和型のサービスの統合的提供の実現の可能性が高まるのではないか。
それぞれはICT機器を活用することによって、さらに生産性を高めることが可能となるのではないか。
(4)生活支援としてのケアコール機器による生活全体の支援
独居、日中独居、高齢者のみ世帯は、世帯の介護力の低下にともない、「生活支援」の重要性が高まっている。
ここでいう「生活支援」は「家族の代替的」「おせっかいな隣人的」機能と定義しています。
「在宅医療」と「生活支援」の統合により、疾患管理の支援を実現し、医学的根拠に基づいた「在宅介護」を説明し、さらに、「生活支援」そのものが、独居、高齢者のみ世帯の中重度の要介護高齢者の生活全体の把握と支えを行えます。
(5)介護給付による「介護過程」と自費によるIoT機器生活支援の統合は「混合介護」として提供
「介護過程」と「10分未満の直接的な生活援助」の組み合わせのサービスを位置づけとともにケアコール機器の活用により、在宅生活継続の効果を拡大させることができる。ケアコール機器からさらに進化し、IoT(物のインターネット化の技術の活用により、利用者一人一人のニーズに合わせた在宅生活支援、および自立支援の成果を拡大するサービスが可能となるのではないか。生産性は高まるのではないか。
介護給付による「介護過程」と自費によるIoT機器生活支援の統合は「混合介護」として提供されることが想定される。居宅介護支援において、統合的に「混合介護」が行われるかが重要なポイントとなる。